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シンボルとしてのライラック

ライラック アイキャッチ画像 植物

ライラックは春に香りのある優しい色の花を咲かせるため、その様子から【青春】や【初恋】というシンボルとされる一方で、この花には【別れ】や【悲しみ】につながる伝説や伝承も多く、ネガティブなシンボルもついてまわります。

ライラックの特徴

ライラックはフランス語でリラ(Lilas)と呼ばれ、日本ではリラとして呼ばれることもあります。スズランに似た甘い香りで香水にも使われます。一般にライラック色というと、淡い優しい雰囲気の紫色を指します。

学名Syringa vulgaris
分類モクセイ科ハシドイ属
原産地地中海沿岸
草丈50cm-100cm
花持ち約5日-7日
流通時期通年
花色ピンク、紫、白、ミックス

悲劇の女性の生まれ変わり?

ライラックと香水
MareefeによるPixabayからの画像

中国に伝えられる説話にライラックの誕生伝説があります。

幼くして両親に先立たれた丁花(ディンシャン)は継母に朝から晩まで容赦なく働かされつらい毎日を送っていましたが、心優しく美しい娘に成長しました。何より彼女の体から立ち上る香りは人を魅了し、そばを通るとかぐわしいよい香りが漂い、思わず振り返るほどでした。

丁花とは対照的に継母の実の娘は身なりはよいものの、働くことを嫌がり、器量もよくありませんでした。

ある日、丁花は1人の若者と出会いお互いに惹かれあっていましたが、継母は自分の娘とその若者を強引に結婚させようとしたため、恐れをなした若者は逃げ出してしまいました。

継母とその娘は丁花に逆恨みをして、彼女の顔を殴りつけ、執拗に暴力をふるい続けました。やがて耐えられなくなった丁花はそのまま気を失ってしまいます。

夜、ふと目を覚ますと、死んでいるはずの母親が傷口をさすってくれていました。丁花はが母親の優しさに安堵して眠りに落ちます。しかし、再び目を覚ましたとき、母親はどこにもいませんでした。母親が幻であったことにを知り、丁花は深い哀しみに沈みます。翌朝、近所の人が様子を見にくると、そこには首を吊っている丁花がいました。

UnsplashMike Labrumが撮影した写真

 気の毒に思った人々は丁花を埋葬し、弔ってやりました。しばらくすると丁花の墓からは1本の木が生え、やがて紫色の花が満開に咲きました。その花からは丁花と同じよい香りがしましたといいます。人々はその花を娘の生まれ変わりであると信じ、彼女の名前から「紫丁香(ツーディンシャン)」と呼ぶようになりました。ただ、どの人も彼女のようにかわいそうな娘が自分の家から生まれることを恐れて庭には「紫丁香」を植えようとはしませんでした。

裏切られた少女の無念【傷ついた心】

ライラック 花びら
UnsplashMagda Lukasが撮影した写真

イギリスの逸話のなかで、1人の村娘が心を寄せていた英国紳士に純潔を踏みにじられ傷ついて死んだ、という話があります。

彼女の友人たちは彼女を悼んでたくさんの美しい紫色のライラックの花を墓に供えました。しかし、翌朝になると紫色だったライラックは真っ白に変わっていました。そのため白いライラックは不吉のシンボルとされます。

そっと恋人に別れを伝える【別れの告白】

UnsplashSiora Photographyが撮影した写真

ライラックを恋人に贈るときには注意が必要です。

イギリスでは結婚の約束をした女性にライラックの香水を贈ることは「婚約の破棄をしたい」ということを遠回しに相手に伝える意味になります。またライラックの花を身につけた女性は結婚指輪をはめることができないという言い伝えもあります。

最後に

ライラックは優しい色合いや甘い香りのする花が咲くため人気がありますが、今回見てきたようにライラックにまつわる話のなかでは女性の悲劇にまつわる伝承や伝説も多いです。そのためライラックの花や香水を恋人に贈るときにはその花が持つシンボルのメッセージ性に気をつけてみてもいいかもしれません。

参考文献

植物
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