今回は赤いバラが宗教や神話などさまざまな場面でシンボルとして使われている例をまとめています。
赤いバラは西洋絵画でもアトリビュートとして象徴的意味合いを持たされて描かれていたり、宗教や神話の中でもたくさん登場しており、多様な意味合いを持った花です。
アトリビュート
https://kotobank.jp/word/アトリビュート-451
キリスト教における赤いバラ(薔薇)
キリスト教ではバラは花と棘(トゲ)で表す意味が対照的になります。バラの花だけでなく、棘(トゲ)にも重要な象徴性を込めているのがキリスト教の特徴です。
キリスト教 赤いバラの花と棘は人の罪と救済を表す
そのみずみずしさと美しさのあるバラの花は天の国の清らかさを象徴します。一方で棘は深刻な象徴的意味を持ちます。
伝承によれば、バラの枝に棘が生えたのは、人間が原罪を犯したあとのこととされます。バラの棘のある枝を編んで作られたイエスの荊冠(けいかん)は、原罪を表しており、それを身につけたイエスは人間が犯した原罪をみずから負ったことを表しています。
古代ローマでは、秘密の事柄を相談する部屋のドアにバラをつけておく習わしありました。この習慣から「バラの下に」(「内密に」という意味)という言葉が生まれています。
キリスト教では「バラの下に」という言葉は懺悔と関係し、多くの懺悔室にはバラの浮き彫りがあり、これは司祭は秘密を守るということを暗に表していると言います。
ギリシア神話における赤いバラ(薔薇)
ギリシア神話ではバラ(薔薇)の花がなぜ赤くなったかという物語が描かれています。
ギリシア神話 悲劇によって生まれた悲しい花
香り高く繊細な色をしたバラは、神話によれば、アプロディテの涙あるいは血から生まれたとされます。
嫉妬深いアレスが復讐のために送ったイノシシに突かれ深傷を負った恋人アドニスの枕辺に駆けつけようとしたとき、アプロディテはバラの棘で足を刺してしまいます。それ以来もともと白かったバラの花びらは彼女の血の色になったと言われています。
しかし別の文献では、アドニスの血まみれになった体を見て悲しんだアプロディテがはらはらと涙を流し、その涙の一粒一粒から、それぞれ1本のバラが生え、またアドニスの血の一滴一滴から、それぞれ1本のアネモネが生えたとされます。
さいごに
今回はシンボルとしての赤いバラの紹介をしました。キリスト教ではバラは花と棘で意味が違うということを考えていると「美しい花には棘がある」ということわざが思い浮かびました。
この「美しい花」というのも、調べてみると、もともとは西洋の「薔薇に棘あり」ということわざから来ているそうです。どちらも1本の植物の中で別の部位にそれぞれ意味合いを持たせることで、シンボルやことわざとしての表現により深みを出しているところが面白いですよね。
バラの花言葉に関する記事はこちらになります。
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