ギリシア神話−悲恋の物語が生んだ花
ギリシア神話の中でアドニスという美少年がいました。女神アプロディテはアドニスに心奪われてしまいます。
アプロディテがアドニスに夢中になっていることに彼女の恋人だったアレスは激しく嫉妬しました。
そこで、アレスは、一頭の凶暴なイノシシを野に放ちます。狩猟が好きだったアドニスはアプロディテの忠告も聞かずに狩りに出て行き、アレスによって放たれたイノシシに突き殺されてしまいます。
このとき地面に飛び散った彼の血から、アネモネが生まれたと言われています。
アネモネの文字通りの意味は「風に吹かれて咲く花」です。これはギリシャ語の「風」を意味する「anemos」から来ているそうです。
アネモネは春が訪れる頃に華やかな花を咲かせますが、花期が短命なためすぐに目の前から消えていってしまいます。こういう部分がアドニスとアネモネを「美しさ」と「はかない命」の象徴として結びつけているいる理由なのかもしれませんね。
※アドニス ギリシア神話に登場する美と愛の女神アプロディテに愛された美少年。フェニキアの王キニュラースとその王女であるミュラーの息子。
※アプロディーテ 愛と美と性を司るギリシア神話の女神で、オリュンポス十二神の一柱。美において誇り高く、パリスによる三美神の審判で、最高の美神として選ばれている。また、戦の女神としての側面も持つ。
※アレス ギリシア神話に登場する神で、戦を司る。ゼウスとヘラの息子。オリュンポスの一二神の一柱。
キリスト教−受難と復活のシンボル
ギリシア神話で説明したような愛と苦悩のシンボルであるアネモネは、磔刑の丘にしたたったイエスの血の色に染まったとされます。そのため深紅(しんく)のアネモネは受難の象徴としても表されます。
アネモネは花期が短いためすぐに散ってしまいますが、多年草であるため花が散っても地中で次の季節が巡るのをじっと待ちます。そして、次の年になるとまた鮮やかな色の花を咲かせます。そんなアネモネの死と再生を繰り返す様子がキリストの復活を象徴するとも言われています。
そのためアネモネはキリスト教では「復活の花(Easter flower)」とも呼ばれます。
アネモネの語源となったギリシア語の「風(anemos)」を意味するその名は、十字架上で最後の息を引き取ったキリストに聖霊の風が起こったこととも結びつけられることもあります。
キリストの受難
キリストが生涯の終りにあたって苦難を受けたこと,特に十字架の苦しみと死とをさすキリスト教用語
https://kotobank.jp/word/キリストの受難-53706
まとめ
今回調べてみるとアネモネの花言葉はギリシア神話やキリスト教の物語から来ているのかな、と思うものが多い気がします。
例えば「はかない恋」はアプロディテとアドニスの悲恋を、「無邪気」はアドニスの人柄を連想します。そして「期待」はキリスト教のイエスの復活を願う信者の心情が思い浮かびます。
いずれにしても神話や聖書の印象的なストーリーと花の特性がよく噛み合っているので、こうしたストーリーを知っていればアネモネの花言葉は覚えやすいかもしれません。
アネモネの花言葉に関する記事はこちらになります。
コメント